お爺ちゃんが、生前、戦争の話をよくしていた。お爺ちゃんは、オーストラリアに近い南の島で8月15日を迎えた。
家で待つ、小さな子どもたちが待つ家族の為に、どんな事があっても生きて帰る事ばかりを考えていたと。
終戦後、捕虜生活を送り、日本に帰ったが、家に帰る前に広島に行った。広島に新型爆弾が落とされ何も無くなったと聞いていたからだ。
広島の様子は、戦地から帰ってきたものにとっても驚きを通り越した姿だったと話していた。
お爺ちゃんが亡くなって25年と半年。
私達夫婦の結婚時、仲人をお願いしたおじさんは、戦争の間、中国大陸の上海・南京・重慶などを渡り歩いたと話されていた。毎日が、殺し合いだったと。
おじさんから聞いていた殺し合いの生々しい話は、今も私の脳裏から消えない。
敗戦となり武装解除し捕虜となった時、中国の人に殺されると諦めたが、民衆からの虐殺を守ってくれたのが中国軍だったと。そのお陰で、日本に無事帰る事が出来たと話していた。
おじさんが亡くなって23年。
本当に日が過ぎるのが早い。誰からも戦争の話を聞くことが、無くなった。